胃腸と腰痛の関係 受診の目安は?

胃腸の痛みと腰の痛みは無関係のようですが、実は深い関係があります。

腰痛は、骨の異常や筋肉の凝りだけが原因で起こるものではありません。胃腸などの内臓の病気の症状としても腰痛は起こります。

今回は、【胃腸と腰痛の関係】【腰痛を伴う胃腸の病気】【受診の目安】などについてお伝えしていきます。

胃腸と腰痛の関係

腎臓や肝臓をはじめ、様々な内臓疾患の症状に腰痛があげられます。

胃腸も例外ではありません。

なぜ、胃腸などの内臓疾患で腰に痛みが生じるのでしょうか?

それには【関連痛】【後腹膜への接触】が関係しています。詳しく解説していきます。

関連痛

関連痛とは、痛みの原因のある部分のは全く別の部位に生じる痛みのことです。

内臓の知覚は、脊髄で他の臓器や皮膚の知覚と一緒にまとまって脳へ情報を伝えられます。

脊髄では多器官の情報がまとまるため、内臓に強い痛みがある場合、その痛みの刺激が脊髄を刺激し、他の部位(主に皮膚)に痛みを感じるのです。

胃を例にあげると、胃の痛みの信号が伝えられる脊髄の部位と、腰(胃では背中の真ん中付近)の感覚の伝達される脊髄の位置が同じであり、胃の痛み刺激が腰(背中)誤って伝えられ、腰(背中)に痛みを感じるようになるのです。

後腹膜への刺激

人間の内臓は、腹膜で覆われた腹腔内にあるものと、その外側にあるものに分かれます。腹膜の前方(お腹側)を前腹膜、後方(背中側)を後腹膜と言い、後腹膜より後方にある臓器は後腹膜臓器と呼ばれます。

後腹膜臓器は、十二指腸、膵臓、腎臓・副腎、尿管、直腸、腹大動脈、下大動脈などが含まれます。これらの臓器に異常があり後腹膜を刺激すると、腰や背中に痛みが生じるのが特徴です。

腰痛を伴う胃腸の病気

胃腸と腰(背部)は深い関係にあるため、胃腸の病気でしばしば腰や背中に痛みを生じます。

腰や背部に痛みが生じるのは、どのような病気なのでしょうか。代表的な疾患を解説していきます。

・胃潰瘍・十二指腸潰瘍

胃潰瘍とは

胃酸によって胃の壁が傷つけられ、痛みや出血を起こすこと。胃から分泌される胃酸と、胃酸から胃壁を守る粘液の分泌のバランスが崩れ、胃酸によって胃壁が傷つき、痛みを感じたり出血を起こす病気のことです。胃潰瘍と十二指腸潰瘍を総称して消化性潰瘍とも呼びます。

厚生労働省 e-ヘルスネットより

十二指腸潰瘍とは

十二指腸は上腹部の胃と小腸の間にあり、指を12本並べたくらいの長さであることからこのように呼称されます。十二指腸潰瘍とは、強い胃酸が十二指腸粘膜を傷つけ、深い傷となっている病態です。

社会福祉法人済生会より

胃潰瘍・十二指腸潰瘍の症状は、

心窩部(みぞおち)の痛み、お腹の張り、悪心、嘔吐、胸やけ、吐血や下血を呈し、腰より右上の背部に痛みを感じることもあります。

吐血といっても、真っ赤な血を吐くわけではなく、コーヒーのような色の血を吐きます。下血とは、便に血が混じることを言いますが、これも真っ赤ではなく、真っ黒なタール便と言われる便が排泄されます。

腹痛(みぞおち)と腰痛が同時に起きている場合、そして上記のような消化器症状を伴う場合は、まず胃潰瘍・十二指腸潰瘍が疑われます。 特に、喫煙・飲酒習慣のある方は要注意です。

悪化すると、出血が増えてショック状態になったり、急性腹膜炎を生じることがあるので、早期に受診しましょう。

急性腎盂腎炎

腎盂腎炎とは、尿路の細菌感染症のひとつです。腎臓・腎盂・尿管・膀胱・尿道をまとめて尿路と言います。通常は細菌は陰部から尿道を通って侵入し、尿道や膀胱などで増殖します。細菌が膀胱より上部に侵入し増殖した場合、腎盂にも細菌が及び、この場合敗血症などの原因となることもあり危険度が一番高くなります。

細菌の侵入経路である尿道は男性よりも女性の方が短いため、女性の罹患率が高い疾患になります。

急性腎盂腎炎の症状は、悪寒や震えの伴う高熱、脇腹の痛み、腰の痛み(右上に出ることが多い)、吐き気があげられます。

高熱を伴い、明らかに全身状態が悪化するためそのまま放置する方は少ないでしょうが、風邪と間違えて放置し、対応が遅れると入院治療が必要になる場合があります。

腰痛+高熱の場合は、腎盂腎炎を疑い、早期に受診しましょう。

悪性腫瘍(がん)

消化器に悪性腫瘍が生じている場合、また体内の悪性腫瘍が脊椎に転移している場合、腰に痛みを生じることがあります。

腰に痛みがあり、安静にしていても良くならない場合や他に症状を伴う場合には、悪性腫瘍の可能性が少なからずあります。

安静にしていても腰の痛みが続く場合、悪性腫瘍ではないか確認する意味でも早期の受診をお薦めします。

胆石症

胆石症とは、読んで字の如く胆道に石ができる病気です。

胆道とは、消化液である胆汁の流れる道を言います。そこにできる「石」は、主にコレステロールが結晶化したもので、食べることが好きな人や血中コレステロール値の高い人、そして太った人、女性、40歳代、白人、多産婦さんなどは注意が必要です。

胆石症で、胆道に石ができても約3割の人は症状が出現しません。

症状が出現する場合、特徴的な症状は右のみぞおちまたは右の肋骨下の痛みです。みぞおちの痛みの他に、関連痛として、肩や背中、腰に痛みが生じます。これらの痛みは、食後に出ることが多いです。

また、胆石が大きくなり胆汁をせき止めて排出できなくなった場合、逃げ場を失った胆汁の成分は血液中に溶け出します。この胆汁成分は濃い黄色で、これが全身にまわると皮膚が黄色く見える(黄疸)ようになります。また、尿中にも排泄され、尿が褐色〜黒色となることがあります。

この黄疸は、黄色人種である我々日本人は分かりにくいのですが、白目を見ると分かりやすいです。白目が黄色く変色している場合は、黄疸の可能性が高いです。

腰や背部の痛みがあり、右のみぞおち・肋骨の痛みなど上記のような症状を伴う場合には、胆石症を疑い早期に受診しましょう。

放置しておくと、流出できなくなった胆汁の成分が胆のうを傷つけ、傷ついた部位から感染を生じ、胆のう炎を起こす可能性があります。最近の増殖した胆汁が、血液中に入り込み敗血症という重篤な状態を引き起こす可能性もあるため、注意しましょう。

受診の目安

腰の痛みと消化器症状が併発した場合、急いで受診すべき場合はどういった場合なのでしょうか。

まず、内臓が痛みの原因である腰痛の場合、安静時も痛みが続きます。普通の腰痛であれば、動作時に痛みが増強し、安静時は痛みがないのでまずは腰痛が筋や骨によるものなのか、内臓が原因なのか判断しましょう。

安静時にも腰痛が続き、他に消化器症状や上記でお伝えしたような症状を伴う場合には受診をお薦めします。

大動脈系の疾患や、悪性腫瘍など早期発見が重要な疾患が隠れている可能性があり、そういった疾患を否定し安心するためにも早めに受診をした方が良いです。

胃腸と腰痛まとめ

全く関係がなさそうで、実は深い関係にある「内臓」と「腰」。

あなたは腰痛の他に、消化器症状が現れていませんか?もし、腰痛と消化器症状が併発している場合、大きな病気が隠れている可能性もあります。

一生使い続けていく身体ですから、面倒臭がらず早めに受診しましょう。

参考文献、ページ

厚生労働省「重篤副作用疾患別対応マニュアル 急性腎盂腎炎」
日本消化器病学会ガイドライン「胆石症」
下津浦宏之, and 井上聖啓. "デルマトーム図." 脊髄外科26.2 (2012): 147-161.
病気がみえる vol.1 消化器.第4版,メディックメディア,2015(ISBN9784896323245)

※本記事は情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、腰痛改善運営会社及び監修医などの専門家は責任を負いません。

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