腰痛とアルコールの関係

皆さんは、お酒を飲み過ぎたあと、腰が痛くなった経験はありませんか?腰痛と聞くとぎっくり腰やヘルニア、坐骨神経痛など、筋骨格系・神経系の要因を想像されることが多いと思いますが、実はお酒の飲みすぎで腰痛を発症することも、珍しくないことなのです。

「なぜお酒の飲みすぎで腰が痛くなるの?」「まったく想像ができない」と感じた方がほとんどだと思います。

今回は、アルコールと腰痛の関係性について詳しく見ていきます。

アルコールに対する体の働き

私達がお酒を飲むと、胃で約20%、小腸で約80%のアルコールが吸収されて血中に入ります。血中に入ったアルコール成分は、門脈を通って肝臓に運ばれます。
様々な物質を分解・解毒する働きを持つ肝臓に運ばれた一部のアルコール成分は分解が始まりますが、分解作業に入れない分のアルコールは血液の流れに沿って心臓へ送られ、ポンプの働きで脳や全身へと巡っていきます。アルコール成分の血中濃度がピークになるまでにかかる時間は個人差がありますが、おおよそ30分~2時間程度とされています。 脳に到達したアルコール成分は脳を麻痺させ、いわゆる「酔った状態」を作り出します。

肝臓で分解が始まったアルコール成分は、ADHと呼ばれるアルコール脱水素酵素や、MEOSと呼ばれるミクロソームエタノール酸化系などの働きにより、アセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドは毒性があり、飲酒の際に顔や、場合によっては全身を赤くしたり、動悸、息切れ、吐き気、頭痛などを催す原因にもなります。アセトアルデヒドはさらに分解が進み、無害な酢酸にまで分解されます。酢酸はさらに水と炭酸ガスに分解され、尿や汗、呼気となって体外に排出されます。

肝臓で分解作業に入れなかったアルコール成分は、血中に入り肝静脈を通って心臓へ送られ、ポンプの働きで全身へ流れます。そして再び肝臓に戻り、一部のアルコールが分解作業に入る、という繰り返しになります。

アルコールの処理能力には個人差があります。当然ながら体の大きい人(体重の重い人)ほど、血中のアルコール濃度は低くなりますし、体質などによっても分解できるスピードや許容量は違ってきます。

大量の飲酒や、長期の飲酒をしていれば、肝臓に大きな負担がかかることは想像に難くありません。

沈黙の臓器とアルコールの関係性

このように、体内に入ってきたアルコールの大部分を分解するのは肝臓の役割ですが、実は、肝臓以外にも、アルコールと深い関係があるとされる臓器があります。

それが、膵臓です。膵臓は、十二指腸において強力な消化酵素を含む膵液を分泌し、タンパク質、脂肪、糖質などを分解・消化したり、血糖値を低下させるインスリンや、上昇させるグルカゴンといったホルモンを分泌しています。直接アルコ―ルを分解するわけではありませんが、大量の飲酒を長期間続けている人では、急性膵炎や慢性膵炎など、膵臓に関する疾病に罹患する割合が高いとされています。正確な因果関係は未だ不明の部分も多いのですが、強いお酒や、大量の飲酒を繰り返すことで、膵管の出口が炎症をおこし腫脹すると、膵液が上手く流れずに膵臓に貯留してしまい、膵臓の細胞を自己消化してしまうことがあるとされています。また、強いアルコールは胃酸の分泌も促進し、胃酸の酸性を中和する膵液を分泌する膵臓に負担をかけ、症状を悪化させる要因になるとも言われています。

厚生労働省が発信する情報でも、急性膵炎の約50%、慢性膵炎の約80%の人が、アルコールを大量且つ長期に摂取している男性であるとされています。

アルコールが腰痛を招く理由

以上で述べてきたように、アルコールを分解するためには肝臓の働きが不可欠となります。また、先に述べた膵臓や消化酵素を排出・濃縮する胆嚢も近接しており、これらの臓器全体に大きな負担がかかってきます。さらに、アルコールによる利尿作用により、水分を濾過し尿を作り出す腎臓や、これら全ての内臓に指令を出している心臓にも負担がかかってきます。

内臓自体にも筋肉があり、自律神経の働きによってその筋肉が動くことで内臓が働いています。これら内臓がフル稼働すると、私達が運動した後に出る筋肉痛などと同じように臓器が疲弊し、肥大や炎症を起こす原因にもなります。中でも膵臓や腎臓は後腹膜器官と呼ばれ、内臓の中でも背中側に位置しているため、これらの臓器に異常が出てくると、腹痛と共に腰痛、背部痛などとなって出てくるのです。

このことからわかるように、飲酒が原因で起こる腰痛は、ただの腰痛だけではなく、「腹痛と背部痛を伴った腰痛」ということになりますので、非常につらい症状となります。アルコールが原因とされる慢性膵炎は、女性よりも、飲酒率の高い男性に多くみられます。普段から日常的に飲酒をしている人、また、量の多い人で、腰痛や背部痛などを感じるようになった場合は、一旦飲酒を控えてみることも必要です。飲酒を控えても症状が回復しない場合には、決して我慢をせず、速やかに医療機関を受診されることをおすすめします。

休肝日を作ろう

普段から飲酒を続けている人は、休肝日を設けることも考えてみましょう。休肝日とは、体の健康を考え、お酒を全く飲まない日のことで、「アルコールを分解する働きを担っている肝臓を休ませる」という意味で休肝日としています。厚生労働省では、週に1日以上お酒を飲まない日を設けることで、肝臓病のリスクを下げることが出来るとしており、世間一般的には、「週に2日の休肝日」として、「お酒を全く飲まない日を設けて肝臓を休める」ということがメジャーな常識として認識されているようです。

しかし、アルコールゼロの日を作ることによる、健康への効果・実績という点では未だ証明されておらず、海外のガイドラインでは、「1週間の中で摂取するアルコールの総量」という目安の方がメジャーであり、各国で制定されたガイドラインの中で各自調整することを推奨しています。

ただ、「お酒の量を調節しましょう」というスローガンでは、今一つ説得力にかけますし、お酒を飲む機会が必然的に増えてしまいがちな日本のサラリーマンは、平日の飲酒が避けられないこともあるため、会社が休みの日である週のうち2日をある程度の基準として、「休肝日」と銘打ったということも考えられますので、お酒を飲む人は、総摂取量を調整するもしくは飲まない日を設けるなど、自分に合ったライフスタイルで、肝臓だけでなく、体そのものを休める日を作ることを心がけるのが良いでしょう。

肝臓を始めとする内臓を健康に保つためには、体を休めることが必要です。体を休めるために必要なことは大きく分けて2つあります。「体に悪いものの摂取を避ける」「内臓の働きを活発にするための適度な運動をする」ということです。

体に悪い物を避けるというのは、大量のお酒や喫煙、高脂肪食などを控えることです。内臓は、比較的我慢強く症状に乏しいため、自覚症状として感じる頃には重症化していることが少なくありません。ですから、自分では健康と思っていても、「日頃から体を休めてリセットする」という日を週に1日でも作ってあげることが大切です。

そして内臓の働きを活発にするための適度な運動とは、適度な有酸素運動のことです。体は酸素を取り入れることで、重要な栄養素を体の隅々にまで運んでくれますので、ウォーキングやスロージョギング、ラジオ体操やエアロビクスなどの有酸素運動を週に3日~4日ほど行ってあげると、体全体の血行が良くなり、内臓の働きも活発になります。

ゆっくり休んだ日には、良質なビタミン、ミネラル、タンパク質といった栄養素を含んだ、体に優しい食事をゆっくりとることで消化しやすくなりますので、総じて体を休めることが出来ます。鶏胸肉とネギ、刻みショウガなどを入れたお粥などは、体に必要な栄養素をバランス良く含み、且つ柔らかい状態で摂取できますので体に優しくおすすめです。

まとめ

ここまで、アルコールと腰痛の関係性、アルコールが及ぼす身体への影響などについてご紹介してきました。お酒は、適度な量であれば良薬とも言われますが、許容量を超えれば体にとって害になってしまいます。アルコールを許容する量には個人差があり、許容できる人、出来ない人もいます。自分の体の声を聞きながら、自分に合った量のお酒をたしなみ、良識のある楽しい時間を過ごしましょう。

※本記事は情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、腰痛改善運営会社及び監修医などの専門家は責任を負いません。

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