2025.06.30
脳のパフォーマンスを制限する「身体的要因」とは?
脳は脳だけで働いているわけではない
現代神経科学は、こうした事実を明らかにしつつあります。私たちの思考力や判断力、集中力や創造性といった“脳のパフォーマンス”は、身体の状態に深く依存しているのです。 以下に、身体がどのようにして脳の働きを制約するのか、主な要因を整理しました。
1.脳は身体と不可分な「身体脳システム」だから
現代神経科学では、脳は身体と切り離せず、身体状態が脳の働きに直結することが強調されています(身体化された認知=embodied cognition)。
たとえば
- 姿勢の変化 → 前頭前野の活動や注意力に影響
- 運動の有無 → 海馬の神経新生や記憶力に影響
2.エネルギー資源の制約(代謝的制限)
脳は体重の2%の重さですが、全身のエネルギーの約20〜25%を消費しています。 しかしそのエネルギー(主にグルコースと酸素)は、心肺・循環機能に依存しています。 身体が疲労していたり、低血糖・脱水状態にあると、脳への供給が滞り、注意力低下・思考速度低下・判断ミスが起きやすくなります。
3.自律神経と脳のパフォーマンスの関係
身体がストレスを受けて交感神経が優位になると、脳の前頭前野の活動が抑制され、扁桃体の活動が増加します。
結果
- 感情的な反応が強まり、論理的思考や集中力が低下
- 逆に、副交感神経が優位なリラックス状態は、記憶定着や創造的思考に好影響
4.ホメオスタシス維持の影響
体温、血糖、酸素濃度、ホルモンなどの身体の恒常性(ホメオスタシス)が崩れると、脳はまず生存維持に資源を振り向ける。 たとえば • 寒さ、暑さ → 注意力や集中力が低下 • 空腹、過食 → 思考の明瞭性が落ちる • 水分不足 → 頭痛や脳のパフォーマンス低下
5.姿勢・筋骨格の状態と脳の活動の関係
- 前屈み姿勢では脳幹の血流が減少し、注意力・覚醒レベルが低下
- 姿勢の悪さは、呼吸が浅くなることで酸素供給の効率も悪くなる(→脳の代謝低下)
脳のパフォーマンスを制約する「身体の科学的要因」
体要因
- エネルギー不足(栄養・酸素)
- 自律神経の乱れ(ストレス)
- 姿勢や筋緊張
- 内臓・ホルモン状態
- 運動不足
脳への影響
- 思考力・記憶力の低下
- 前頭前野機能の低下、感情の過活動
- 血流・酸素供給の低下、覚醒度の低下
- 情動制御・モチベーションに影響
- 海馬機能
- 注意力の低下、うつ傾向
こうした科学的知見が示す通り、身体を整えることは、脳を最適化することに直結しています。