ピラティスの呼吸について 〜あいうべ体操の鼻呼吸からの考察

ピラティスの呼吸について 〜あいうべ体操の鼻呼吸からの考察

あいうべ体操と免疫力

「あいうべ体操」をご存知でしょうか。
福岡みらいクリニック院長の今井一彰さんが考案した、口呼吸を鼻呼吸に改善していく口の体操です。
詳しくは、ぜひ今井先生の著書やwebサイト(https://mirai-iryou.com/)をご覧いただきたいのですが、先生によると、動物は本来鼻呼吸の生き物だけれど、人間は言葉を話すようになり口呼吸をするようになってしまったそうです。口呼吸は「間違った身体の使い方」であり、身体が本来持っている免疫の機能に乱れを引き起こし、それがリウマチやアトピー性疾患、インフルエンザなど様々な病気の原因となるのです。
先生は、「鼻や口は体内にものを取り込む入り口、いわば『命の上流』。間違ったやり方を続けることで、その1回1回は小さくとも、いずれ中流下流に大きな問題を引き起こしかねない」と説いています。それは「一度建設したダムを撤去したことにより、その下流の豊かな自然環境が復活した」という実際にあったニュースと同じであると例えています。
病気になってから治そうとするのではなく、ならないように入り口から予防する。根本を改めることで薬を使わず病気を治す。それができるのが「あいうべ体操」なのです。

あいうべ体操とピラティスの親和性

あいうべ体操とピラティスの親和性

身体の正しい使い方をあらためて学び、人間が持つ本来の力(免疫力や抵抗力など)を引き出すというアプローチは、あいうべ体操とzen placeのピラティスの共通点です。
また、ピラティスも呼吸を重視するため親和性が高いと言えます。
ピラティスでは、ひとつひとつの動きを呼吸とともに行います。ピラティスにおける呼吸は、適切な筋肉を動員し、動作にリズムを作る役割をします。また、血液に酸素を送り込む、循環を良くする、さらに集中力を高め心身を落ち着かせる、という利点があるとされています。
呼吸は「命の上流」。エクササイズ中はもちろん、日常生活においても、寝ているときも、生きている限り呼吸が途切れることはありません。1回1回の呼吸の「質」を高めることには大きな意味があると、zen placeも考えています。

ピラティスの呼吸って・・・

ここで、ピラティスを実践されている方は疑問を持った方も多いのではないでしょうか。
ピラティスは、鼻から吸って、口から吐く。これは鼻呼吸なのか?と。
今井先生によると、ピラティスの呼吸も口呼吸の一つに分類されるそうです。そして、鼻の呼吸で出来るなら鼻呼吸で動くに越したことはない、とのことでした。
zen placeのピラティスインストラクターの中でも、このことについてはたびたび議題に上がります。ピラティス・メソッド考案者のジョセフ・ピラティス氏は「鼻から吸って口から吐く、とは言っていないが、吐き切ること、は強調していた」とのことから、必ずしも口で吐かなくてもよいようですが、実際のところどうなのでしょう。

ピラティスの呼吸って・・・

ここで3人のインストラクターの話を紹介します。

Nina:いろいろな講師から得た情報

Nina

ワークショップなど機会があると講師に質問するというNinaは、いろいろな講師にこの呼吸についても聞いているそうです。
回答から得られたことは、
・エクササイズによっての最適な呼吸があるとされる
・口から吐くにしても常に力んで吐くような事はなく、弛緩と緊張の双方への適応範囲の拡大が望ましい。
・負荷の大きいエクササイズの場合には口から吐く方が適している
・口から吐く方がピラティスの流動性のある動きに対して調整がしやすい
など、いづれもジョセフ・ピラティスの教えと同じで、口から吐くことを勧める表現はないようです。エクササイズに合わせて選択できる場合は、吐くときも鼻呼吸を試しても良いかもしれません。

Sakiko:鼻呼吸でピラティスを実践

Sakiko

あいうべ体操を積極的に広めているSakikoは、今井先生から鼻呼吸を学んでから数年、ピラティスを鼻呼吸で実践しています。
「鼻呼吸で動く癖がついてから、動きやすさが増したのは間違いないです。エクササイズの強度が上がったり、ここぞと言う力を発揮しなければならないエクササイズの時は鼻だけでは間に合わず、口で息を吐いた方が全身から力が出ます。が、コアが使われているかと言うとコアの弱さをその他の筋肉が働いてサポートしてくれているような感じで、本当の意味でのコアの動員が行われているかは微妙です。」とのこと。
zen place内での研究も、追っていきたいと思います。

Michiyo:キューイングを変えて気付いたこと

Michiyo

Michiyoは鼻呼吸の大切さを知ってから、レッスン中「吸う時は口閉じて鼻から吸って」と いうキューイングを強調して出してみたところ、会員の方から「今まで鼻で吸っていると思ってたけど、ずいぶん口から吸っていたことがわかりました。口を閉じて鼻で吸ったら、呼吸が深まり、体が熱くなりました」とフィードバックをいただいたそうです。
「口で吐いて、そのまま口を開けて次の吸う息を口から入れていた、ということだと思います。ピラティスの動きながらの呼吸は、そのようなことが起こりやすいと感じます。」とのこと。
この話からも分かるのは、鼻呼吸をしているつもりでも、100%鼻から、というのは難しいということです。実は日本人の約9割が「口呼吸」と言われています。ぜひ一度、意識的に口を固く閉じて鼻呼吸をするのと、口を軽く開けたまま鼻呼吸をするときの違いを試してみてください。ピラティスを実践されている方は、エクササイズ中に「口閉じ」を意識することで呼吸の「深さ」に違いを感じるかと思います。

zen placeではより良い情報を提供できるよう、探求し続け、学びを深め続けています。各スタジオで鼻呼吸についての特別レッスンも企画してますので、ぜひご参加ください。

以上のように鼻呼吸について考察をしてきましたが、2020年の今まさに問題なのは、実はマスク。マスクをすると呼吸のしづらさから口呼吸になりやすいそうです。予防やエチケットのためにマスクが手放せない今こそ「あいうべ体操」で口元を引き締め、鼻呼吸(鼻毛)という天然のフィルターを通した正しい呼吸を忘れないようにしましょう。
あいうべ体操をするとフェイスラインも締まるので、美人になるというおまけも期待できます。