パーキンソン病に対する、ピラティス効果について

パーキンソン病に対する、ピラティス効果について

日本人の平均寿命は、女性が87.32歳、男性が81.25歳と、 2019年の厚生労働省の発表は、男女共に過去最高を更新。長寿も進み、少子化も手伝って超高齢社会となった日本では、加齢に伴って患者数が増加する病気も多くあります。

そんな病気の1つパーキンソン病は、脳の異常から発症する病気です。加齢に伴って患者数も増加する傾向も見られます。以下は厚生労働相による、推計患者数の推移です。

パーキンソン病推計患者数の推移

パーキンソン病の症状

手や足の震えや、歩くときに足が出なくなるなど動きが素早くできなくなること、バランスを取れず転びやすくなったり、指や膝などの筋肉が硬くなって動かしにくくなるなどがあります。

主に50代〜60代の年齢層で発症することが多いのですが、若年性として40代で発症したり、70歳以上になって発症する人もいます。

パーキンソン病の予防について

パーキンソン病の予防について

パーキンソン病は、中枢神経系や、末梢神経系の変性によって、運動や認知機能、情動や自律神経・感覚に障害を起こす、進行性の神経変性疾患のため、身体運動がパーキンソン病の発症を予防したり、進行を遅らせるのに有用であることが示されています。

しかしながら、特定の機器や専門施設を要するものが多く、なかなか取り入れられない現状もあるようです。そこで、在宅での実践が可能で、特別な機材が不要なマットピラティスについて、その効果を検証した研究があり、以下に紹介いたします。

軽度から中等度のパーキンソン病患者に対する、マットピラティスの実現可能性と有効性の予備的研究

対象:
パーキンソン病協会で募集した条件に合致し、臨床的に安定している特発性PDの16人が(平均年齢69歳。 女性6人)。

プログラム:
参加者は、60分のセッションを週に2回、12週間に渡って実施。
1回はマットでの床上ピラティス。1回は立位と座位を交えたMPプログラム。

セッションメニュー:
・30s chair stand (rep)
・Arm Curl (rep)
・2 minutes Step (rep)
・Chair sit and reach (cm)
・Back Scratch (cm)
・8 Foot Up and Go (s)

評価方法:
プログラム開始前、終了時、終了後1ヶ月後(フォローアップ)に、フィットネスレベル(The Senior Fitness Test (SFT) Battery)と、生活の質(39‐item Parkinson’s Disease Questionnaire (PDQ‐39) )を使用して、プログラムの効果を評価。

※SFT
7つのテストで構成(30秒間のチェアスタンド)、上半身の強度(腕のカールテスト:女性は5ポンド/2.3kg、男性は7ポンド/3.6kg)、有酸素耐久性(2分間のステップテスト)柔軟性が低い(チェアシットアンドリーチテスト)、肩の可動域(バックスクラッチテスト)、運動の敏捷性/動的バランス(8フィートのアップアンドゴーテスト)

結果:
参加者16人のプログラム履修率は87%で、予定の384時間のプログラムのうち336時間を完了。16人中13人が80%以上の参加率でした。MPプログラムは実行可能であることが証明され、悪影響は見られませんでした。プログラムを修了することで、参加者のフィットネスレベルと、生活の質が、全項目で向上した結果が出ています。終了後1ヶ月のフォローアップ評価では、終了時に比べて効果が低下する傾向がありましたが、ベースラインよりは概ね高いレベルは維持できていたそうです。
結論:
MPプログラムは、軽度から中等度のパーキンソン患者のフィットネスレベルと生活の質を改善するための有益なリハビリである可能性があります。ただし、上記検証に留まらず、今後の無作為の更なる試験と評価が必要です。

上記の研究結果は、National Library of Medicineより引用。原文は以下を参照しております。https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28712331/

身体運動で脳神経系にアプローチするピラティス実践を

身体運動で脳神経系にアプローチするピラティス実践を

ピラティスと言っても、近年、様々なスタジオが「ピラティス」と謳ったレッスンを展開しています。エアロビクスのような、運動量に重きを置いたものから、大音量の中でストレスを発散するようなタイプまであります。

zen placeのピラティスは、ピラティスが、骨や筋肉を微細に動かす特有の動きが、単に、身体を良くすることに留まらないことに注目し、マットを使ったグループレッスンは勿論、専用マシンを使ったマシン・ピラティスでのプライベートレッスンやリフォーマー・グループレッスン全てが、呼吸と身体の動きで、脳神経系と免疫機能に働きかけをする動きを基本としています。

具体的には、ピラティスの胸式呼吸は交感神経に働きかけ、呼吸をしながら微細な筋肉や手足、背骨を動かすことで血流を促進し脳を活性化させていきます。活性化がなぜおこるかというと、身体の細部に意識を集中し、呼吸しながら背骨を中心に身体を動かすエクササイズが交感神経を刺激し、そのことで、血液が筋肉や脳に行き渡って、脳と全身を繋でいる神経が活発になっていきます。

ピラティスは、単に身体を鍛える「筋トレ」や「フィットネス」ではないと私たちが考えるのは、身体の内側の「インナーマッスル」や「脳神経系」を刺激するものだからです。その効果は、ご紹介したパーキンソン病などの「神経変性疾患」はもちろん、「免疫力を高める」といった「脳が司どる機能を正常化させる効果」、花粉症のような「自律神経や免疫のバランスが崩れておこる症状」の改善、腰痛など「鎮痛作用のあるホルモンの分泌が減る」ことでおこる痛みの症状の改善など、多岐に及びます。

全国に約100店舗ある、ピラティス・スタジオ、ヨガ・スタジオ、会員になると受講できるオンラインレッスンなど、20代から80代の方まで、幅広い年代の方が続けています。ご興味ある方は是非、体験レッスンを検討なさってください。