乳がんとヨガをテーマに連載してきました。今回は、あらためて、ヨガとはどんなものなのか、ご紹介していきます。
ヨガというと身体が柔らかくないといけないと思う方も多いですが、これはがんに関係なく誰でもできます。
なぜかというとポーズを取ることだけがヨガではないし、それ手足どうなってるの??というような雑技団のようなポーズばかりではなく、やさしい動きからでもその方の身体の状態に合わせて始められるからです。
ヨガでは自分自身の内側に起こっていることを観察し気づきを向けていく時間にしています。
皆さんが思うヨガとは、どんなイメージですか?
ヨガはストレッチや筋トレとは違います。
どう違うかというと、呼吸法や瞑想などを取り入れながら行うこと。呼吸に意識を向けることで集中を促し、瞑想で善し悪しの判断せずにありのままに今自分のなかで起きていることに気づく練習をしていきます。
「ヨーガ・スートラ」という古くからある経典には、冒頭にヨガの目的であり定義についてこう書かれています。
“Yogas chitta vritti nirodha”
「ヨーガとは心の作用の止滅である」
風が吹いたり何か落ちたりすると水面が波立つように、私たちは日々起きている出来事に対して反応し、心が波立っている状態がほとんどです。
身体の癖があるように心にも癖はあります。
例えば、まだ起きてもいない未来に対してネガティブに想像して気持ちが落胆したり緊張したり不安になったり。その反対に理想を描いてワクワクしたり楽しくなったり期待することもあると思います。
今までの過去の経験や記憶をもとに未来に起きることを予測したり、過去の出来事にとらわれすぎてしまうことで、一喜一憂する自分の心に振り回されて疲れてしまいます。
無意識に物や人も部分的でしか見えていないけれど、それがすべてであるかのように、「これはこうであるべき!」「この人はこういう人だ!」というような見方をして好きや嫌いを決めていることもあると思います。
しかし、その波立った状態で物事を見ても歪んで見えるため、波立つ心を静めて本質を見る心のコントロールが大事になります。
ヨガではその練習をアーサナや呼吸法、瞑想を通して行なっていきます。
最終的にはざわついた心の働きを静め、脳の暴走をも静めていき、そうすると心の平穏が訪れるでしょう。
『 Vol.4 ~診断後のヨガの効果』に続きます