「コロナうつ」って？脳や心に影響するピラティス効果

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、うつや不安障害の症状を訴える人が世界的に急増し、最近では「コロナうつ」という言葉を耳にするほどです。
うつの症状の原因として、最初に挙げられるのがストレスです。コロナうつの場合は、感染への恐怖や、他人に感染させる不安、経済的な不安、そして制限や自粛への怒りなどがストレス要因として挙げられるでしょう。しかしこれらの反応はむしろ自然なことです。反応を否定せず、どのようにストレスに対処していくかが大切です。

ピラティスは、微細な筋肉にアプローチする動きがあることから、筋力トレーニングと考える人も多いようですが、実はストレス解消にも効果を持つ、心に影響を与えるエクササイズです。
ピラティス先進国のアメリカでは、トレーニング要素よりも、精神安定の効果をピラティスの特徴として挙げているようなところがあります。
zen placeの会員様からも、うつ気味だったのが治り精神的に安定した、人に対して優しくなれるようになった、離婚を考え直した、という声も聞かれます。

ピラティスによる精神安定の効果は、大きく「呼吸法」と「集中」によるものです。
精神療法のひとつとして「マインドフルネス」が、アメリカを中心に欧米で盛んです。マインドフルネスとは、「気付くこと」を意味します。「今、ここ」に集中することで、自分自身を含めすべてをあるがままに受け入れる「心の練習」をするものです。
「動く瞑想」とも言われるピラティスでは深層の筋肉や骨のひとつひとつに意識を向け、呼吸をコントロールしながら、自身の身体に集中し続け動きます。その集中が、マインドフルな状態をつくります。呼吸は脳に酸素を送り、頭と身体を活性化させます。集中してエクササイズを終えたあとは、頭がすっきりとして、活力が湧き、前向きな気持になるのを実感できるでしょう。

うつには、気分や感情を司る「脳」の働きが関係します。快や不快の感情を生み出す「大脳辺縁系」や「視床下部」、喜怒哀楽をコントロールする「前頭葉」といった脳の部位にトラブルが生じると考えられています。
コロナによる心理的な影響で特徴的なのは「わからないことに対する不安」ではないでしょうか。不安、恐怖の感情は、実際に起きうることや、予測しうる問題の何倍も頭の中で膨らんでしまいます。これが「大脳の暴走」と呼ばれます。脳の暴走は大脳辺縁系を刺激して恐怖感情をさらに強め、すると自律神経や内分泌系の、身体を整える機能たちまで阻害されてしまいます。うつ病は他の病気と併発することも多いものですが、心と身体は切り離せない、まさに心身一体なのです。

日本ではコロナ禍において、感染拡大防止のために、海外のようにロックダウンのような厳しい制限はありませんでしたが、長い期間の自宅待機は人の心に影響を及ぼしています。
動物も人間も、環境からの刺激がなくなったり、自分から環境へ働きかけられなくなったりすると、不安障害が出ることはさまざまな実験で明らかにされています。南極に長期滞在する研究者などもこれを経験すると言います。
そして、感覚遮断は認知の機能を乱します。ルーマニアの孤児を対象にした、感覚を遮断されて育った子供たちの研究からは、脳の発達に他者の存在が必要だと示されました。脳の画像からは、感覚遮断により、前頭前皮質や大脳辺縁系の萎縮、そして、恐怖心などが生まれる扁桃体の肥大化が見られたそうです。

私たちのおこなうピラティス、ヨガは、これらの身体全体の機能のバランスをつかさどる様々な脳機能を最適化していくものと考えています。自律神経系に直接に働きかけること、ホルモン系の機能にも働きかけていくこと、血流を増やし循環をあげて代謝を変えていきます。感情のコントロールからストレスのコントロールまでもおこないます。

コロナ問題は長期化することが予想されます。
順天堂大学医学部免疫学特任教授の奥村康氏は、人口のうち一定割合の人が感染して免疫を持つことで、感染拡大が封じ込められていく、という見方をし、「過去に世界で流行したスペインかぜや香港かぜ、あるいはSARS（重症急性呼吸器症候群）やMERS（中東呼吸器症候群）など、いずれも最終的に収束したのは、人間が集団免疫を持ったから。いまは猛威を振るっている新型コロナウイルスも、最終的には集団免疫によって抑え込まれていくし、それ以外に人間が勝利する道筋はないのです」と主張されています。

コロナが過ぎ去るのを待つのではなく、withコロナ時代を生きていくことを考える時期が来ています。私たちzen placeは、ストレスを軽減する、免疫力を正常化させることのできるピラティス・ヨガを提供していきたいと考えています。