映画ライター・よしひろまさみちの、ほぼ週刊映画コラム「後は、ご自由に」
#18『食べて、祈って、恋をして』|映画ライター・よしひろまさみちの、ほぼ週刊映画コラム「後は、ご自由に」

映画ライターで日本アカデミー賞会員のよしひろまさみちさんが、毎月のテーマに合わせて作品を紹介する、ほぼ週刊の映画コラム「後は、ご自由に」。
7月のテーマは、目的を決めず、ただただ夏に出掛けたくなる映画。第18回は、映画のなかだけでも、ためこんでいた欲を満たし切れる映画『食べて、祈って、恋をして』をご紹介。
私たちは傷ついたときに、つい「誰かが私を救い出してくれる」と期待してしまいます。でも、大人ならそうはいきません
五感を刺激する旅。そして、なにか発見がある旅。夏だからこそチャレンジしてみたいもんですよね。とはいえ、なかなかその勇気がない……という方。ぜひ『食べて、祈って、恋をして』をご覧ください。この作品は、ベストセラーとなった同名小説をベースに、『Glee/グリー』などを大ヒットさせたライアン・マーフィーが監督した旅情ロマンスの傑作です。
NYでライターをしているエリザベスの人生は一見すると順風満帆。だけど、じつは冒険心に溢れていて、現状に不満を抱えていました。そんな彼女のプライベートが崖っぷちになり、それをきっかけに思い切って1年間の旅に出ることにします。行き先はイタリア、インド、インドネシア。目的は食べて、祈って、恋をすること!
まず訪れたイタリア・ローマ、ナポリでは、それまで食べたことがないほどのイタリア料理やデザートにまみれ、カロリーを気にせず思い切り食欲を満たす喜びを知ります。次のインドでは道場に入り、祈りによって心を整えるおつとめ。そして最後のインドネシアでは、リゾートで安らぎを求めていたものの新たな出会いが……?
やっぱり旅先に行くとおサイフの紐と欲を抑えつけている理性がゆるんじゃうもんですよね。エリザベスの場合、きっかけはあったものの、もともと予測できる人生に不満を抱えています。それだけに、最初のイタリアパートでの食欲の解放はすさまじい! 気持ちいいくらいに食べまくります。これ、やってみたいと思う方もいらっしゃるはず。
彼女のように心にある足かせを外すには、日常を離れることが大事ということがめちゃくちゃ分かりやすく描かれているパートです。これを観た後で、いいレストランをまずは予約したり、なんならイタリア……いや無理せず好きな食材の産地めぐりとか計画したり(もちろん暑いなかでの旅行は健康に配慮を!)。だって、日頃頑張っている皆さんですもの。それくらいのご褒美はあっていいはず。
また、エリザベスの旅は傷ついた自分をなんとかするために、無計画に飛び出したというもの。これを真似するのは難しいことですが、ちょっと考えてみて下さい。私たちは傷ついたときに、つい「誰かが私を救い出してくれる」と期待してしまいます。でも、大人ならそうはいきません。誰かに依存する幸せではなく、どんな環境でも「自分の心で感じ、自分で選択して進む」という強さを持つことが重要ということを、エリザベスの旅を通して学んでいただければ。
1年も休暇とれない! というのが実情ですが、まずは映画のなかだけでも、エリザベスと同じようにためこんでいた欲を満たし切るのはどうでしょう?



