しあわせのカタチ

【前篇】建築士・笠井沙織さんにとっての、豊かさ

【前篇動画】築100年・古民家暮らし8年目|寒仕込みの自家製味噌。双子の子どもたちが駆け回る、昼下がり。建築士・笠井沙織さんにとっての、豊かさ

窓を開けると、目の前が幹線道路。そんな都内のマンションから四季を感じる郊外の古民家へと暮らしの拠点を移した、建築士・インテリアデザイナーの笠井沙織さん。青梅市にある築100年の古民家に家族4人で住み始めてから約8年、少しずつ自分達の想いを形にしながら日々を過ごしています。

前篇の動画では季節とともに時間が流れる古民家での生活を映しながら、利便性を手放したからこそ手に入れられたものについてお聞きしました。動画も「しあわせのカタチ」公式YouTubeからご覧ください。

終電で帰り、眠るだけだった都内のマンション暮らし

この家に住む前、笠井さんは都内のマンションで暮らしていました。

「幹線道路沿いのマンションで、毎日うるさくて。窓もあまり開けられないようなところでした」

当時は仕事中心の生活。帰宅はいつも終電だったといいます。

「終電で帰ってきて、寝に帰るだけの生活でした」

家は休むための場所。一日の大半は外で過ごしていました。そんな生活のなかで、少しずつ思い描くようになったのが、古い家での暮らしでした。

「畑のある暮らしとか、古い家とか、ずっと憧れはありました」

都会とは違う時間の流れの中で暮らしてみたい。そんな思いが、少しずつ強くなっていったといいます。引っ越しを機に、働き方も変えました。

「ここに来てからは在宅でできる仕事に変えて、家で仕事をするようになりました」

夫と私、ともに惹かれたのは築100年の古民家でした

古民家探しは、1〜2年ほど続いたそうです。

「ずっと探していて、やっと理想の家に出会えた感じです」

この家を見つけたのは、夫だったそうです。ただ、その頃の家は長く空き家のままでした。何年も人が住んでおらず、傷みもかなり進んでいたといいます。

「結構ボロボロというか、廃墟みたいな感じでした」

それでも、この家に惹かれる理由がありました。

「主人は、建物の骨格がしっかりしているところを気に入ったみたいです。私は、裏山と庭があったことですね」

家の裏には、緑の広がる山。そして、畑もできそうな庭。静かな景色に囲まれたこの場所で、家族の暮らしを思い描いたといいます。築100年近い古い家。長い時間を重ねてきた場所です。その時間の続きに、家族の新しい暮らしが始まりました。

季節の恵みとともにある暮らし

古民家に移り住んで、いちばん変わったこと。それは、季節の感じ方だったといいます。

「四季の変化をダイレクトに感じながら暮らしています」

朝の光。夕方の空気。太陽の動き。日々の暮らしのなかで、自然のリズムを感じるようになりました。庭のそばには畑もあります。

「ちょっと野菜を育てたりもしています」

土に触れながら過ごす時間。都会では遠くに感じていた自然が、生活のすぐそばにあります。庭や畑では、季節の恵みを生かした手仕事も楽しんでいるそうです。

「庭に柑橘がいろいろ実るんです。金柑とか、文旦とか」

冬はそれらを使って甘露煮やジャム、蜂蜜漬け、味噌も手作りするとのこと。引っ越してきてから、そんな季節の手仕事が自然と増えたといいます。畑では、この地域でよく育てられている「のらぼう菜」を栽培しているそうです。

「子どもたちを、つい怒ってしまう」がなくなった

現在は、夫と6歳の双子の子どもたちと暮らしています。

「すごく元気で、この広い家を毎日走り回っています」

古い家の広い空間。子どもたちにとっては、それがそのまま遊び場になっています。

「マンションのときは、走っちゃだめとか、静かにしてとか、結構言っていた気がするんですけれど、ここでは走ったり、跳んだり壁や窓に落書きしたりしても、大丈夫」

子どもたちが自由に動き回れる空間。それは親にとっても大きな変化でした。

「子どもに、つい怒ってしまうということが全くなくなって。心が安定していることを実感していますし、自由にさせてあげられていることが心地良いです」

ーー後篇の動画・記事はこちらから
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織 ORI|かのや主宰

織 ORI|かのや主宰

東京都青梅市にあるおよそ築100年の古民家に、夫と双子とともに暮らす。建築士・インテリアデザイナーとしての経験を生かし、古い建物が持つ美しさを大切にしながら、その人が本当に心地よく生きられる暮らしを、かたちにする手伝いをしている。

画像/船場拓真
記事制作/株式会社ZEN PLACE

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