14|体力がほしい
波のまにまに、地域おこし
波のまにまに、地域おこし
13|海を知る

福島県・いわき市で暮らす野村史絵波さん。東京、奈良での暮らしを経て地元でもあるこの地に戻ってきたのは、2023年のことです。海からほど近い古民家で夫、そして1歳の子どもと暮らしながら、地域おこし協力隊として故郷と未来を繋ぐお仕事をしています。
連載「波のまにまに、地域おこし」では、そんな史絵波さんが好奇心を源に海、街、人を紡いでいく様子をお届けします(たまに日常の便りも)。第13回目は、海の面白さを知り、正しく恐れることの大切さを伝えることについて。

6月に入ってどんどん初夏の匂いがする日が増えてきました。わたしが暮らす福島県いわき市は、夏は涼しめで冬は暖かく「東北のハワイ」と謳われています。
いわきの沿岸は浜が続いていて、年中サーファーの姿が見えるし、夏は市内各地の海水浴場で海開きが行われます。
この季節の海は日差しで海面がきらきらしていて、幼いころからとても好きな風景です。いわきは夏がとっても似合う。
地域おこしの仕事について3年半。普段は漁具(漁業の道具)を扱っていますが、この時期は地域イベントの支援も行っています。
特に、協力隊に着任してすぐNPOの方々と協力して始めたサップとカヤックを体験できる海遊びのイベントは、おかげさまでこの3年続いています。そして今年も、4回目の準備が始まりました。

このイベントは、地域に根付いたNPOの方々が、魚の水揚げがなくなった静かな港を地域の人たちと活用したいという思いから始まりました。
水難事故のニュースが流れるたび海が危険なところだと思われるようになって、海という自然に触れることが減ってきている現代。
幼いころから海沿いに住み、海水浴や磯遊びをしてきたわたしにとって、その話を聞くとやっぱりどこか寂しさを感じます。
原風景である海の端で暮らす今、海という自然のこと、海のおもしろさを改めてきちんと知りたいと思っています。
そして、正しく恐れたい。震災で津波も経験したけど、それでもやっぱり海が好きな人間として、「海」は人生の中で向き合っていきたいもののひとつかもしれません。

なんて、少し大袈裟ですが。何にせよ、やみくもに怖がるのではなく、きちんと知ってから向き合ってみると、なにが怖くて、なにが怖くないのか見えてきたりしませんか。どんなことにも、その気持ちを大事にしたくて。
そんなことを思いながら、このイベントを始めるときにライフセーバーの知識を学び始めました。海辺での命の守り方を知ったことで、危険なこともわかるようになり、徐々に「海」の解像度が上がってきている気がします。
イベントは近隣に住む親子向けに開くサップとカヤックの体験教室ですが、開始前にライフセーバーによる安全教室も行います。
ライフセーバーのような有識者がその場にいることで、参加者のみなさんが思いっきり遊びながら海を知り、経験としてきちんと持ち帰ってくれているように思います。
正しい知識と、参加者同士が危険も楽しさも見つけ合う。この小さな港で、とっても大事なことが起きている気がします。


