映画ライター・よしひろまさみちの、ほぼ週刊映画コラム「後は、ご自由に」
#14『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』|映画ライター・よしひろまさみちの、ほぼ週刊映画コラム「後は、ご自由に」

映画ライターで日本アカデミー賞会員のよしひろまさみちさんが、毎月のテーマに合わせて作品を紹介する、ほぼ週刊の映画コラム「後は、ご自由に」。
6月のテーマは、一人の女性の視点をベースに本質への気づきを与えてくれる映画。第14回は、それぞれ異なる価値観を持つ4姉妹の人生を、次女・ジョーにフォーカスを当て、女性の自立や結婚、家族とは何かを問いかけた『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』をご紹介。
お金、結婚、夢…自分にとっての「幸せ」って? 過去と現在、2つの軸で4姉妹それぞれの人生を描いた名作
みなさん、『若草物語』はご存知でしょうか? ルイーザ・メイ・オルコットが1868年に発表した同名小説で、映画化は7回、ミュージカルや舞台では世界中で数限りなく上演されてきました。
日本では、80年のアニメーションシリーズで育った、という人もいれば、学校の図書室で読んだ、という人もいるでしょう。そんな名作の映画化7作目となったのが『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』です。
19世紀、NYで暮らすマーチ姉妹の次女ジョーが、4姉妹が実家で暮らしていた頃を回想して進む、2つの街と時間軸を舞台にした作品。NYで教師として働くジョーは、短編小説をしたためて編集者に持ち込み採用されます。
ジョーはマサチューセッツにいたころから作家を志しており、そのころのことを思い出すと、浮かび上がってくるのは性別による職業差別や伝統的価値観などへの圧倒的な疑念。
女の子だから、子どもの義務だから、と縛り付けられ、それをなんとか乗り越えようとしていたことでした。そんななか、性格が全く違う姉妹が、支え合いながら夢に向かおうとする姿を描く文芸大作です。
今までの『若草物語』と違うのは、原作の第二部、姉妹が実家を出た後の設定を使いながら、実家時代の疑問点を客観視していることです。
もともとこの物語は、南北戦争に揺れる激動のアメリカで、女性の自立とは何か、女性にとっての結婚や家族とは何かを問いかけた革新的小説。
フェミニズム、高慢と偏見、道徳観・価値観の変容などなど、社会が動けば動くほどこれらの視点も動いていくもので、それは当時同等かそれ以上に激動の今を生きる皆さんも実体験として持っているはず。だからこそ、この作品が普遍的な名作と呼ばれるゆえんとなっています。
基本的にはジョーの視点が主軸となりますが、4姉妹それぞれのキャラクターに則した物語、そして彼女達の過去がその後にどのような影響を及ぼしているのかがみずみずしく描かれているのが特徴。
しかも、キャスト全員が今の映画界を代表する俳優たちなので、ご覧いただく皆さんの心に軽やかにインパクトを与えてくれるはずです。
過去と現在を交錯させた彼女達のストーリーから、ご覧になっている自分の過去と今を照らし合わせてみてはいかがでしょう?



