07|ひっそりつくるZINE
波のまにまに、地域おこし
波のまにまに、地域おこし
08|豪雪地・新庄市を訪ねて

福島県・いわき市で暮らす野村史絵波さん。東京、奈良での暮らしを経て地元でもあるこの地に戻ってきたのは、2023年のことです。海からほど近い古民家で夫、そして1歳の子どもと暮らしながら、地域おこし協力隊として故郷と未来を繋ぐお仕事をしています。
連載「波のまにまに、地域おこし」では、そんな史絵波さんが好奇心を源に海、街、人を紡いでいく様子をお届けします(たまに日常の便りも)。第8回目は、雪国で過ごす人々の「楽しむ余地を残す」生き方について。

少し前のことですが、2月という一年で一番寒い季節に、豪雪地である山形県新庄市に行きました。
普段生活している福島の太平洋側は、東北といえど全く雪が降らない温暖な気候で、雪がチラつくと幼少期の雪遊びを思い出しては、無邪気にも「積もらないかなぁ」とわくわくしてしまうくらい、雪に慣れていません。
山形新幹線の終点、新庄駅に降り立ち、改札を抜け、駅舎を出ると、あたり一面なんてもんじゃない、視界の全てが雪。真っ白でした。腰高くらいまでの積雪に車道から退けた雪が積み上げられて、自分の背丈より高い氷の塊がちょっと恐いとまで思えるレベル。
ふわふわと舞っているように見える雪も、歩き始めると顔に向かって細い針が刺さるような刺激に変わります。少し歩いただけで足が疲れて、滑らないように庇って歩いていたことに気づかされました。

冬の間、なんなら春の雪解けまでの期間、ずっとこの状態なのかとショックを受けましたが、「ほぼ毎日、早朝から雪おろしをして1日が始まります」との知人の一言に、到着30分にしてメンタルを砕かれました。
新庄に住む人に、普段の生活のことを聞いてみました。驚いたのは、みなさんとてもポジティブなこと。ここでの暮らしに雪があることは当たり前で、半分以上諦めてどう楽しむかを考えていると話してくれました。
すごく大事な感覚を教えてもらった気がしました。学生の頃や都心で仕事をしていた頃は、常に「課題」に向き合っていて、どうしたら解決できるかに追われ続ける。その解決に「自分が楽しいかどうか」なんて考えてもみなかった。

もっというと、すべて「課題」として捉えてしまっていたことが、楽しむ余地を失うことに繋がってしまっていました。
豪雪地帯での暮らしは想像もできないくらい大変なことだと今も正直思っているけど、掻いても掻いても降り積もる自然現象が日常の中の課題と捉えようなんて、私という人間が傲慢すぎるなと反省しました。
そしてもう一つこの旅でわかった大事なことは、陽の光が人にとってものすごく大切なものだということ。帰り際に晴れ間が差して、訪ねた知人も珍しく太陽が出たことを喜んでいました。この気候による精神的なダメージが命に関わるという話も聞こえてきました。
健康に暮らすことって、とても大変なことです。強すぎる紫外線は気になるかもしれないけど、適度に陽の光を浴びて、それから深呼吸をして、たまにでもいいから自分の心と身体と話をしてみるのもいいですね。

