「ZEN PLACE」の歴史

はじめに

「ZEN PLACEの歴史」は、創業からの沿革を記録するために作られたものではありません。

この中には、創業時の社会状況や、業界の動向を始め、私がピラティスやヨガに対して直感的に感じたこと、 人との出会いを通じて学んだこと、そしてZEN PLACEの沿革を書き連ねています。
その積み重ねで今のZEN PLACEがあり、ZEN PLACEがこれから目指す方向に繋がっています。
これから私たちが、社会に必要とされる企業として大きく成長していくために、 世界の変化に五感を研ぎ澄ませながら、このマインドに共感してほしいと思っています。

尾崎 成彦

日本でおきたヨガブーム

ZEN PLACEの歴史を知る上で、今の主力事業がピラティスやヨガである以上、ヨガの歴史について理解しておく必要があります。経済状況や時代背景にも影響を受けながら、変わっていく日本人の価値観の中で、ヨガも3回ほ どブームになったことがありました。

瞑想・生命の救済に軸をおいた、沖正弘氏の「沖ヨガ」
日本で最初に広くヨガが知られたのは、ヨガの指導者であり思想家でもある沖正弘氏(1921-1985年)がきっかけと言えるでしょう。日本のヨガブームの草分け的存在でもある沖氏は、沖ヨガと呼ばれるヨガを体系化しました。一人一人の心の中に平和心を生まなければ真の平和な世界は来ない、政治的・武力的な均衡での平和は真実のものではないという彼の考えがあったようです。

超人的能力で注目された藤本憲幸氏、そしてブームの衰退
1970年代になると、藤本憲幸氏がその能力の高さによってTV番組に登場したことにより、「潜在能力を呼び起こ す効果がある」とヨガが注目されはじめました。当時のヨガは「潜在能力を呼び起こす方法」として注目を集め、筋肉をつけたり柔軟性を高めたりするというイメージはなかったようです。そんなヨガへのイメージが広まった中で、1995年3月に、地下鉄サリン事件がおこりました。猛毒の化学兵器・サリンを使い、死者13人・負傷者5800人以上の被害をもたらす凶悪事件を起こしたオウム真理教が、ヨガ哲学の語彙を使っていたことから、ヨガや瞑想を敬遠する人が増え、ヨガブームは衰退していきました。

アメリカでのヨガ・ピラティスの流行
日本でヨガが再びブームになる少し前の2001~2002年頃、アメリカでは、ヨガ・ピラティスブームがおこっていました。その中心にあったのがビクラムヨガです。創始者であるビクラム・チョードリーは、アメリカでまだヨガがサブカルチャーの1つに過ぎなかった頃、西海岸に教室を立ち上げ、ハリウッドセレブなどの著名人も多く通う大ブームを巻き起こします。2010年頃までに全世界に展開する巨大ビジネスとして大きな成功を収めますが、2013年にセクハラ、レイプ、不当解雇等、複数の民事訴訟を起こされ、2017年11月に裁判所に破産を申し立てています。

2004年、日本でヨガブーム再来
日本では、2004年5月にスタジオ・ヨギーが1号店を開始します。ヨギーは同年9月にはヨガインストラクター養成講座を開設するなどし、日本のヨガマーケット拡大を推し進めた企業の1つであると言えます。さらに、ヨギー1号店と同年2004年の8月に、LAVAがホットヨガスタジオを開始しました。オープンから約2年で50店舗を展開し、ホットヨガブームを牽引しました。2005年にワークアウトワールド・ジャパンが、米ビクラムとライセンス契約を締結し、2006年にビクラムヨガの1号店を銀座に出店します(2008年自己破産)。米国ではハリウッドが発祥だったため、ハリウッド俳優がやるヨガという訴求で注目を集め、広まりました。ビクラムヨガ銀座1号店は内装も豪華で、オープン時は、1日100人の体験者が集まるほど人気がありました。2011年には、スポーツジムを運営するINSPAがホットヨガ専門スタジオ・カルドを開始し、2010年頃から大手スポーツジム(セントラル、ルネサンス、NASなど)が、既存スタジオを改修してホットヨガができる環境を作るなど、ホットヨガ市場への参入が相次ぎ、LAVA、ヨギーが何スタジオか閉店する等、市場が成熟期に入りました。そんなヨガ市場が成長~成熟する中、2006年に私は、ピラティス1号店を中目黒に誕生させました。 では、いよいよここから、ZEN PLACEの話に入っていきます。時を1990年代に戻して、私が今のZEN PLACE を作ることになった、根本にある考えから説明していきたいと思います。

法人営業と香港駐在での「気づき」

1991年、大学卒業後、証券会社に入社した私は「法人営業」に配属されました。中小企業の社長たちとコミュニケーションをとっていく中で、「心」に興味を持ちはじめました。

私よりも年上で社会経験豊富な社長たちと向き合う中で、お客さんのことを第一に考え、まず正直であることが重要だと気づきました。
その上で、「全人格」で相手に向き合えば、ちゃんと信頼してもらえることを学びました。

その後、香港に駐在中に出会った優秀なファンドマネジャーを観察しているうちに、
「成功するには冷静に視野広く現実を見て、正しい判断ができる力や、どんな時でも揺らがない心が大切だ」 と思うようになったのです。

ラエルとの出会い、
ピラティスの可能性

2002年からのアメリカ留学中、ビジネススクールに通い、出来るだけ多くの人と会って話を聞いて回りました。
その中の一人が、BASI ピラティス創設者のラエル・イサコウィッツでした。

初めて行ったスタジオでは、そこに居るだけで、その居心地の良さに、気持ちが明るく晴れ渡っていく感覚を感じたのです。

ラエルは「ピラティスは動く瞑想だ。人生における大切なものである」と語りました。
私は「ピラティスは、体の動きを通して心を変える、新しいアプローチ方法になる」
と、直感したのです。

そして、「日本に帰ったら、スタジオを開こう」と考えるようになりました。

ピラティス事業・
BASI養成コースの開始

スタジオ事業「zen place」の開始

帰国後の2006年、中目黒にスタジオをオープンさせました。

当時の日本は、ヨガスタジオは盛況で、ピラティススタジオもいくつかありました。

私たちのレッスンは、アメリカのスタイルを踏襲しており、1時間が一瞬で過ぎてしまうほど集中でき、自分の身体がスタジオの空間とまじりあう、お客様と一体となるような素晴らしいものでした。

さらにピラティスの効果を高めるために、2007年頃から月額で通い放題ができる仕組みを導入しました。そのことが1つのキッカケとなって、お客様の満足度が向上していきました。

スクール事業「zen place academy」

中目黒でスタジオを開業した同じ年にBASI養成コースを始めました。
zen placeのスクール事業の特徴は、スクール事業を利益目的で作ったのではないという点です。

スタジオ事業をやっていくためには、
「ピラティスの本質がわかっている本場のアメリカから講師を招いて、インストラクターを育成したい」
という考えからスクール事業を始めました。
そんな背景もあって、私たちのスクール事業は、スキルの高い外国人講師を頻繁に招いていたし、招聘するためにたくさんインストラクターを抱える必要がありました。
そして、スタジオ出店もしていくという、スタジオ事業とスクール事業の関係が出来上がりました。

ヨガ事業・
YogaWorks養成コースの開始

ヨガスタジオと養成コースの開始

ピラティス事業を開始して2〜3年。
ピラティスの効果を最大化したいという探求の中で、ピラティス創設者やBASI創設者もヨガを学んでいたことを知りました。

ピラティスに心の変化を促すメカニズムを知るためには、ヨガを学ぶことにヒントがあると思うようになりました。
そんな興味から、ヨガスタジオと交流しているところ、「ヨガン」というヨガスタジオから、営業譲渡の申し出があり、受け入れました。2009年、ヨガスタジがスタートしました。

ヨガでもピラティス同様、本質を伝えられるしっかりしたヨガを提供したいと考えました。
そこで、ヨガもスタジオ運営と同時に養成コースを運営して、スキルの高い海外講師を招く機会を持つことを視野に入れました。
カリフォルニアでポピュラーだった「YogaWorks」を日本で開始することになりました。

ビクラムヨガの開始

ヨガについて、学びを深めていく中で『あるヨギーの自叙伝』という名著に出会いました。
著者のヨガナンダを師匠とするビクラム・チョードリーの「ビクラムヨガ」は、心を変化させる本質に繋がるに違いないと思うようになりました。

ビクラムヨガの特徴は、緊張と弛緩の連続です。自分の身体に挑戦するようなポーズをやって、シャバーサナ(屍のポーズ)を繰り返します。
ビクラムヨガは、自律神経の振れ幅エネルギーを作るものだと感じました。

ビクラムヨガは、当初「WOW’D(ワウディ)」というフィットネス・スタジオが運営していました。
2009年に当社が営業譲渡を受け、現在ではzen place yoga(HOTヨガ)として銀座、大阪本町で運営を続けています

訪問看護事業・クリニック事業

訪問介護事業「zen place 訪問看護」

アメリカでは、理学療法士がピラティスを学んで、リハビリや看護に生かすことは一般的でした。その形を日本でうまく実現できないかと考え、2013年に「訪問看護」を事業としてスタートすることになりました。

当社の訪問看護事業のスタッフは、全員が、看護という仕事に誇りをもち、そして、お客さんのために自分に何ができるかを最優先で考えている素晴らしいメンバーばかりです。

クリニック事業「ウェルビーイングクリニック」

国立病院や臨床講師などを歴任する布施淳医師と話をしていた時、
「大病院に来る患者の10人中9人がはっきりした理由が分からないけど不調である」ということを知りました。

そして、「病名のつかない人の心の問題や、基本的な生活習慣の問題、ストレス対処を行い、病名のつかない人をサポートする」クリニックを作ることになりました。
2018年、「ウェルビーイングクリニック駒沢公園」を開設しました。

クリニックでは、対話の時間を大切にし、患者さんの健康に関する悩みを紐解いていきます。
今後は、テクノロジーを活用して、より多くの人に利用していただきたいと考えています。

新たな挑戦

オンラインプログラムサービス「クラムる」

「15分間」という時間に、ピラティス・ヨガの動きを取り入れた、効率的で効果的な集中型オンライン動画レッスンです。
楽しく、テンポ良く、気持ちよく伸びながら、心と身体をコンディショニングすることができます。

また、「15分という短時間」×「ご自宅から参加できるオンライン・プログラム」だからこそ、毎日続けられ、続けられるから効果を出る、というのが特徴であり最大の魅力です。

ピラティス事業の海外展開

ぜんのピラティスを海外でも良さを伝えることができないかを模索していました。

そんな中、中国人パートナーと出会ったことをきっかけに、中国で事業拡大をすることになりました。世界的疫病「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」の中でも、オンラインコースを開講。
今後は直営スタジオの設立も計画しています。

ハーブ・CBD・オリジナルプロダクトの企画販売

商品の販売を通して更なるWell-beingな社会実現を目指すべく、2021年9月に物販事業「zen place onlinestore」をスタートさせました。

良質な生産者とともに、高品質CBD製品をはじめとしたオーガニックハーブ植物製品とハーブを中心とした学びの場を提供し、日本の新たなウェルネスライフスタイルの創造と情報を発信してまいります。

アプリサービス「腰痛ドクター」

日本人だけでも2800万人が悩むと言われ、大きな社会課題にもなっている「腰痛」に対しても、私たちらしい取り組みを始めることにしました。
私たちのヨガ・ピラティスの知見と、最先端の研究結果を組み合わせて、腰痛改善アプリをリリースすることにしました。

早稲田大学スポーツ科学学術院教授 整形外科医である金岡恒治先生と、桐蔭横浜大学 スポーツ健康政策学部教授 理学療法士である成田崇矢先生と一緒に、腰痛の発生原因と身体機能を評価し、原因に合った正しい運動療法を教え、腰痛を和らげる問診サービスを提供します。

Rael Isacowitzさんが
PMAの殿堂入り

Raelはアメリカのピラティスメソッドアライアンス(PMA)で第2世代として初めてPMAの殿堂入りを果たしました。ジョセフピラティスやクララピラティスやその弟子を除いて、ジョセフピラティスから直接学んでいない人では初めての受賞です。Zen PlaceはこのRaelから直接に学ぶ機会をどこよりも多く持っています。

これからの「ZENPLACE」
〜本質の理解と俯瞰する力

私は20代の頃から、心に関心を持ち探求し続けることで「ZEN PLACE」という事業を生み出す機会に恵まれました。
いくつもの事業を作っていく中で、本質の理解が進みました。
また、今のZEN PLACEが作られた歴史を通じて、世の中を俯瞰して見る力をつけ、変化に対応し続けることを学んで欲しいと思っています。

ZEN PLACEはどんどん変化していきます。一緒に変化を楽しみ、ウェルビーイングな人生を歩んでいきましょう。

代表 尾崎成彦