腰が通常よりも大きく反り返ってしまう姿勢「反り腰」は、身体に大きな負担をかけます。結果、慢性的な痛みやこりなどにつながるだけでなく、ボディラインの崩れも起こりやすいので、なるべく早めに解消することが大切です。
この記事では、反り腰に効果的なピラティスを紹介します。また反り腰で起こる不調や、反り腰になる仕組みもまとめました。「反り腰を解消したい」という方も、「反り腰なのか判断がつかない」と悩んでいる方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次
反り腰になると起こるさまざまな不調
本来、人の身体は背中からお尻にかけて緩やかなS字カーブを描いており、このカーブによって重力が分散されています。
よって、S字カーブが崩れた反り腰の状態では身体の負担が大きく、特に首、肩、腰に不調を感じやすくなるでしょう。慢性的な首こりや肩こり、腰痛があるのなら、反り腰が一因かもしれません。
また、腰が反っている状態ではおなかに力が入りづらくなり、腹筋で姿勢を支えにくい分、前ももに大きな負荷がかかります。反り腰の状態が長く続けば続くほど、腹筋が衰えることでおなかはぽっこりとしやすく、前ももは筋肉が発達して張り出しやすくなってしまうのです。
がんばってダイエットやボディメイクをしているのに、一部の変化が乏しいようであれば、まずは反り腰の解消が必要かもしれません。
反り腰になる仕組みと身体の変化
ここでは、反り腰になる仕組みを分かりやすく解説します。反り腰になりやすい生活習慣と併せて確認することで、より理解を深められるでしょう。
理解が深まるほど、「何がいけないのか、またどのように解消するべきか」が論理的に分かるようになるので、対策の効率化にもつながります。
反り腰になるのはなぜ?
反り腰とは、骨盤が前傾した状態で固まってしまう骨盤のゆがみによって生じます。なぜ骨盤がゆがむのかというと、背骨や骨盤の周りにある筋肉バランスの崩れが大きな要因です。
筋肉は過負荷の状態が続くと柔軟性を失い、硬くなります。筋肉が硬くなれば周囲の背骨や骨盤も引っ張られるので、少しずつ本来の位置からずれてしまうのです。
反り腰によって硬くなる筋肉・弱くなる筋肉とは?
骨格のゆがみはいずれも筋肉バランスの崩れが大きな要因ですが、反り腰の場合は以下のようなバランス差が生まれやすいといわれています。
硬くなる筋肉 | 弱くなる筋肉 |
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上半身は背中から腰にかけての筋肉が硬くなるのに対し、おなか側は弱ります。下半身は前ももを中心に前側の筋肉が硬くなり、代わりにお尻やももの後ろ側の筋肉は弱りやすいでしょう。
反り腰になりやすい生活習慣
反り腰になりやすい生活習慣を5つ解説します。
反り腰の解消には、ピラティスをはじめとしたエクササイズも効果的ですが、生活習慣の見直しも並行することが大切です。当てはまる習慣がある場合は、日ごろから意識して、身体をいたわりましょう。
デスクワーク中心の仕事
人の身体は、立っているときよりも座っているときのほうが腰に負担がかかるといわれています。デスクワーク中心の方は、同じ姿勢が長時間続かないように定期的に休憩を挟むことが大切です。
また長時間座り仕事をしていると、疲れから姿勢が崩れてしまいがちです。ついつい前かがみになっていたり、腹筋に力が入っていなかったりすると、さらに反り腰を招きやすくなります。
ヒールをよく履く
ヒールの高い靴は、自然と身体の前側に重心がかかるので、骨盤を前傾させた歩き方の癖がついたり、前ももの筋肉に過負荷をかけてしまったりします。反り腰なのであれば、ヒールの靴はなるべく避けるのが無難です。
おしゃれや仕事柄どうしても履く必要がある場合は、足に合った靴を選ぶほか、ヒールで正しい姿勢をキープできるだけの筋肉をつけましょう。
重いものを持つ機会が多い
重いものを持ったり運んだりする機会が多い方は、そのたびに腰に過負荷をかけている恐れがあります。腰回りの筋肉が硬くなり、反り腰になりやすいでしょう。
なお、リュックサックを常用している方はストラップを短めにして背負うのがおすすめです。下側で背負うほど、骨盤を前傾させる癖がつきやすくなってしまいます。
妊娠中で体形や姿勢が変化している
妊娠中はおなかが大きくなったり、体重が増加したりすることで、どうしても腰に負担がかかりやすくなってしまいます。またホルモンの影響で骨盤が広がるので、妊娠中はゆがみも起こりやすい状況です。
妊娠中に反り腰になってしまい、産後も腰痛に悩まされたり、体形が昔のように戻らなかったりする女性も少なくありません。
子どもを抱っこしている時間が長い
育児中のお母さんお父さんは、子どもを抱っこするときの姿勢が原因で反り腰を誘発することがあります。赤ちゃんをのぞき込むように前傾姿勢で抱っこしていたり、腹筋に力を入れず、または膝を曲げて抱っこしたりしている場合は、特に腰に負荷がかかりやすいので気を付けましょう。
身体への負荷緩和を考えて作られた抱っこひもや授乳クッションなども、利用してみてください。
ピラティスで反り腰を解消しよう
反り腰を解消するには、硬くなっている筋肉を緩ませて、弱っている筋肉を引き締める必要があります。
しかし反り腰の場合、無理にストレッチしたり筋トレをしたりしては、かえって痛みや張りを増してしまう恐れがあるでしょう。
その点、ピラティスは元々戦争で負傷した兵士のリハビリのために開発されたため、身体に過負荷を与えないことを重視しています。妊娠中の方や、慢性的な腰痛を持っている方でも、医師の許可さえあれば安心して取り組めます。
反り腰解消で期待できるうれしい変化
反り腰を解消すると、身体のさまざまなところにうれしい変化が現れます。
ここで主な変化5つを確認して、反り腰を解消したときの生き生きとした自分の姿を想像してみましょう。理想の自分像を持つことは、モチベーションにつながります。
腰痛が改善される
反り腰は腰に負担がかかっているからこそ起こるものですが、反り腰になるとなお負担がかかりやすくなります。そのため、反り腰が解消することで腰痛が改善される方も少なくありません。
反り腰によって起こる痛みは、ゆがんだ背骨や骨盤が神経を圧迫していることで起こるケースもあります。反り腰の解消により、思わぬ部位の痛みが改善されることもあるでしょう。
ぽっこりおなかが平らになる
反り腰を解消すると、骨盤の前傾が改善するのでおなかがぽっこりと突き出して見えなくなります。またおなかに力を入れやすくなるので、筋肉もつけやすくなるでしょう。エクササイズや筋トレの効果が出やすくなり、引き締まったおなかを手に入れやすくなります。
お尻がキュッと引き締まる
反り腰による突き出したお尻も、正しい姿勢に戻ることで目立たなくなります。また、おなか同様にお尻周りの筋肉にも力が入りやすくなるので、お尻のエクササイズや筋トレの効果も高まるでしょう。お肉の垂れていないキュッと引き締まったお尻を手に入れたいのなら、反り腰の解消が大切です。
太ももの張りが軽減される
反り腰が解消すると前重心でなくなるので、太ももの前側に常にかかっていた負荷も改善されます。すると、次第に前ももの張りも軽減されていくでしょう。
ただし長年にわたって反り腰を抱えていると、筋肉そのものが発達してしまうので、細くなるまでに時間がかかってしまいます。なるべく早めの解消がおすすめです。
アンダーバストが締まる
反り腰の解消によって、アンダーバストが引き締まる方もいます。反り腰は胸を不自然に張った姿勢でもあるので、次第に肋骨(ろっこつ)が開いてしまうためです。
アンダーバストが締まれば、くびれが際立ちやすく、メリハリのあるボディラインを作りやすくなります。
【初心者向け】反り腰を解消するピラティスのエクササイズ
ここでは、初心者向けの反り腰に効果的なピラティスエクササイズを紹介します。
ピラティスは、自宅でも簡単に取り組めるのが特徴です。ただし、ピラティスは正しい呼吸法と身体の動かし方でやってこそ最大限の効果を発揮します。
やり方のひとつひとつを丁寧に実行するほか、自分の柔軟性や関節の可動域以上の動きを無理にしないように心掛けましょう。
1.ピラティスの基本ニュートラルポジション
まずは、さまざまなエクササイズの基本となるピラティスのニュートラルポジションを覚えましょう。
- 仰向けに寝転がる
- 頭、胸、骨盤を床につけ、首と腰は手のひら1枚分ぐらい浮かせる
- 両膝を立て、骨盤の上で手を使って逆三角形を作る(へそ側に親指、足側にほかの指がくるように)
- 手首が骨盤の出っ張り(腰骨)の上にくる位置へと三角形をずらす
- 人さし指や中指の先端のあたりにあるゴツゴツとした骨(恥骨)と、4の腰骨が全て床と水平になるようにする
仰向けの状態はもちろん、座ったり立ったりした状態でのエクササイズでもこのポジションを意識することで、ピラティスの効果は高まります。
2.下腹部に効くエクササイズ
下腹部に効果的な簡単なエクササイズを紹介します。
- あぐら、もしくは正座で座る
- 肋骨(ろっこつ)をサイドから持ち上げるイメージで手を当て、背骨を天井へと真っすぐ伸ばす
- 2のままゆっくりと呼吸を繰り返し、50秒ほど続ける
息を吸うときは胸を上や横へ広げ、吐くときは背骨を上へと長く伸ばすイメージで、丁寧に繰り返しましょう。ラテラルプリージングでは、腹横筋(おなか周りをぐるっと囲むインナーマッスル)をしっかりと使うのがポイントです。
背骨を天井へと真っすぐ伸ばす感覚をつかんだら、片手を下腹へと当て、腹横筋が動いていることを意識しながらエクササイズしましょう。
3.慢性腰痛・腰痛予防にフィーマー・アークス
慢性的な腰痛やその予防におすすめなのが、こちらのエクササイズです。
- 骨盤の幅に足を開き、真っすぐ立つ
- 膝の角度が90度になるように片足を上げてキープ
- 上げた足を床に足がつかない位置まで下げては、また2に戻すのをゆっくりと繰り返す(ゆっくりとした呼吸も意識して)
- もう片方の足も同様にと繰り返す
足を上げ下げする回数は、まずは片足につき5回1セットでやってみましょう。フィーマー・アークスは、体幹を強化してくれるエクササイズです。続けることで腰の動きをスムーズにしてくれるでしょう。
4.肩甲骨はがしで上半身すっきり
首こりや肩こりに悩まされている方は、こちらのエクササイズをお試しください。
- 正座もしくは椅子に座り、両腕を肩から真横に伸ばす
- 指先をそれぞれ肩に乗せる(難しい人は親指だけを乗せる形でもOK)
- 肩甲骨からしっかりと動かすイメージで、腕を後ろ側へとゆっくりと回す(ゆっくりとした呼吸も意識して)
- 同じように前側へとゆっくりと回す
- 手を真下に下ろし、肩甲骨を上にぐっと持ち上げ5秒ほど力を入れる
- ゆっくりと力を抜く
肩を回す回数は、後ろ回しと前回し各10回が目安です。肩甲骨から伸びる筋肉は首や肩につながっているので、肩甲骨周りをほぐすことは周辺のこり解消につながります。
体験レッスンで効果を実感!ピラティスなら「zen place」
ピラティスは自宅でもできますが、初心者のうちは正しい身体の動かし方や呼吸法が分からず、かえって身体を傷めてしまうこともあります。特に反り腰の方は不自然な力の入れ方の癖がついていたり、深い呼吸が苦手だったりするので、誤ったやり方をしてしまう方も少なくありません。
効率よくピラティスの効果を得たいのであれば、zen placeの体験レッスンをご活用ください。zen placeでは、目的や個々の身体に応じたさまざまなレッスンを実施しており、反り腰をはじめとした姿勢改善を求める方向けのレッスンもあります。まずは一度、レッスン内容をチェックしてみてください。