アスリート選手の競技人生に大きく影響を与えるケガや体の故障。将来を嘱望されていながら、ケガによって競技人生を経たれた選手の数は驚くほどです。言い換えると、スポーツを行う際には、それほどまでに体に負担がかかっているということになります。ケガや体の故障を予防する上で必要な体のコントロール力。ピラティスでは、安定した体幹と柔軟な体、そして正しい体の使い方を身につけることでき、スポーツでのケガの予防に役立つとして多くのアスリート選手がトレーニングに導入し始めています。
今回は、サッカー選手に着目して、ピラティスの魅力について深めていきます。ピラティスの効果やサッカー選手におすすめしたい理由について詳しく説明します。
目次
アスリートにとってピラティスでどのような効果を得られるのか
ハリウッド女優やモデルなど美の追求者がこぞって実践しているピラティス。
女性のイメージが強いピラティスですが、アスリート選手がトレーニングに取り入れたことで男性にも徐々に広がりをみせています。
なぜアスリート選手がトレーニングにピラティスを選んでいるのでしょうか。
ピラティスにより体をイメージ通りに動かすことができるようになると言われています
「アスリート」と呼ばれる方たちは、過酷な世界に生きています。
体を鍛え上げつつ常に最高の状態に保ち、かつ自分の精神・心理もコントロールして、「試合」という場面で自分がもつ最高のパフォーマンスを発揮しなければいけないのです。
体のどこか一部にでも、あるいはフォームや動き方にほんのわずかな不安材料があると、それは心の乱れを生み、それがさらにパフォーマンスに影響を及ぼすことがあります。
ですから、毎日のトレーニングでしっかりとした体の準備をし、自分の思い描いた通りに体を動かせるようになることで、自身がもつ最高のパフォーマンスを発揮できるようになるのです。
ピラティスは、そんなアスリートにも、トレーニングの一部として用いられることが増えてきていると言います。
ピラティスの創設者ジョセフ・ピラティス氏は、ピラティスの目的の一つであるコントロロジーについて、このように述べています。
「自分が想像する体の状態と、実際の体の状態、そのギャップを埋める―つまりピラティスとは自分のイメージ通りに体を動かすための訓練」
正しいフォームで身体を正確に動かすためには、確かに筋力というものは必要ですが、どんなに筋力があっても体の軸となる体幹がしっかりとしていなければ、腕や脚を大きく動かすことは不可能です。
また、ダッシュなど瞬発的に体を動かす場合においても、体幹がしっかりしていることで脚の筋力が十分に脚の動きに伝達され、身体を前へと推し進めることができるようになるのです。
ピラティスによる体幹、軸の固定はあらゆるスポーツに良い効果をもたらします。
そのため、多くのアスリートから支持されているのです。
サッカー選手がピラティスを取り入れる理由
スポーツの世界で、トレーニングにピラティスを取り入れる人は増えてきています。
著名なサッカー選手にも、体づくりの一環としてピラティスに取り組んでいます。
サッカーの世界では、広いピッチを走り回るだけではなく、脚を自由自在に動かしてボールをコントロールし、相手チームの選手の動きを読みながら瞬時に動くことも求められます。
例えば、ボールを強く蹴る際、脚をやや大きめに後ろへ振り上げた後、その脚を前へと強く蹴りだす動きが求められます。
この際、体幹のねじれを伴うこともあります。
脚を後方へ振り上げる際、あるいは前へ蹴りだす際には股関節周囲の筋肉は強く収縮しますが、特に蹴りだす際には股関節の深層筋である腸骨筋や大腰筋が収縮します。
しかし、この時に骨盤の位置、つまり体幹が安定していないと、特に大腰筋の収縮によって腰椎が前方向へ引っ張られ、腰椎の前凸のカーブを強めてしまい、腰痛の原因になることがあります。
それと同時に、大腰筋と腸骨筋の収縮が十分に脚に伝達されないため、強く蹴ったとしてもその力がボールへと伝達されなくなってしまいます。
ピラティスによって体幹を安定させることで、ボールを蹴る際の姿勢を正しく保ち、筋肉が発揮する力をボールに伝えることができるようになるのです。
蹴る動きも体幹のねじりも体幹や骨盤の位置がしっかりとしていなければ、行うことは難しいですし、これが不十分であるといずれ関節に痛みを引き起こす危険性があります。
ピラティスエクササイズがもつ、体幹や関節の安定性と広い可動域を得るという効果によって、スポーツのパフォーマンスを高めることができるのです。
サッカープレイヤーにおすすめピラティス
大腰筋にアプローチ
レッグリフト/レッグチェンジ
1.膝を立てて仰向けに寝ます。
2.片足を90度に曲げて持ち上げ、つま先だけ床に下ろします。
3.8回終えたら反対足。終わったら両足を空中で入れ替えるレッグチェンジも8セット行います。
※腰や骨盤がふわふわしないように安定させたまま股関節から折りこむように足を持ち上げましょう。
中殿筋にアプローチ
サイドキック
1.肘を立てて足を伸ばし横向きになります。
2.上の足を高く持ち上げ、大きくキックするように前後に振ります。
3.前後へのキックを8セット行いましょう。
※支えている肘で床を押し返し、身体が前後に揺さぶられないよう、股関節からダイナミックに脚を動かしましょう。
腕や脚のコントロールにアプローチ
スイミング
1.手足を肩幅くらいで前後に伸ばし、うつ伏せに寝ます。
2.四肢と頭を浮かせ、右腕と左脚をさらに高く持ち上げたら、反対の手脚と入れ替えます。
3.5回吸って5回吐く深呼吸をしながら手足を交互に素早くパタパタ動かしましょう。
※なるべく頭や上半身は動かさずに腕脚をピンと伸ばしきった状態で大きく動かしましょう。
(まとめ)ピラティスはアスリートにどんな効果をもたらすの?
ピラティスでの腹部深層筋の収縮で骨盤、体幹の安定性が高まると、スポーツをする際の腰への負担を軽減できるだけではありません。
腕や脚をしっかりと動かせるようになり、パフォーマンスを高めることができます。
アスリートは常に、自分の思い描いた通りに体を動かせることで自身のパフォーマンスを発揮できます。
ピラティスによって体幹の軸(コア)が安定することで腕や脚の動きがコントロールでき、自身の能力を発揮できるようになるのです。
股関節の深層筋である大腰筋や腸骨筋は骨盤や腰椎に付着しており、体幹が安定していないとそれらの筋の収縮で体幹のバランスが崩れてしまいます。
サッカーにおいてボールを力強く蹴ることも難しくなるでしょう。
サッカーでは、体幹のねじれと股関節の広い可動域を用いてボールを蹴り返します。
体幹が安定することで体幹をねじっても重心位置は安定し、また股関節を広く動かすことができるようになり、強いボールを蹴り返せるようになるのです。